22.主訴・病歴・問診

1/18

説明

本コースでは、まず摂食嚥下障害が疑われるべき主訴を列挙し、病歴聴取・問診の方法を解説する。

2/18

説明

主訴から摂食嚥下障害が疑われる場合、詳細に病歴を聴取し問診を行うことで、見逃されていた摂食嚥下障害が発見されることがある。摂食嚥下障害は口腔から胃までの幅広い経路において、精神的なものから癌まで多岐にわたる原因が考えられるため、医療面接による絞り込みは、摂食嚥下障害の診断を進める第一歩であり、スクリーニングとしての役割も担っている。

3/18

説明

摂食嚥下障害の診察では、患者および介護者の主訴を聞くことから始める。一般的な先行期~口腔期の障害の際にみられる主訴を列挙する。認知症等で食物認知の問題が生じると、介護者らが自発的に食べない(拒食がある)、口腔内に食物が残る、食物が口からこぼれるという訴えが生じる。

また口腔内が乾燥するすると嚥下開始が困難になる。神経筋疾患等により食物が噛みづらい・飲み込みづらいという訴えもある。これらの結果として、食事時間の増加、体重減少が生じる。

4/18

説明

咽頭期、食道期の障害の際の主訴として、(1)自発的に食べない、(2)体重が以前より減少した、(3)食事時間が以前より増加した、(4)口腔内に食物が残っている、(5)発熱を繰り返す、(6)痰が増えた、(7)食物が咽頭に残った感じがする、(8)食事中、食後にムセや咳が生じる、(9)食事中、食後に嗄声がある、(10)夜間にせき込むなどがある。

(1)~(4)の訴えは、先行期~口腔期の障害と共通する。(8)~(10)の訴えは、誤嚥が疑わせる。

5/18

説明

主訴から摂食嚥下障害が疑われる場合、基礎疾患の有無、既往歴、家族歴についての病歴を詳細に聴取する(病歴聴取)。

6/18

説明

病歴聴取のポイントとして、脳血管障害では、発症からの時期、障害部位、単発性なのか多発性なのかについて情報を得る。頭部外傷では、受傷時の重症度、損傷部位に加えて、挿管、気管切開、高次脳機能障害の有無にも注意を払う。

7/18

説明

頭頸部癌患者については、腫瘍の大きさ・部位に加えて、手術、放射線治療、化学療法の有無についても情報を得る。パーキンソン病などの神経筋疾患患者では、運動障害や疾患の進行度、内服薬、認知症の有無についても確認しておく。

8/18

説明

病歴聴取と同時に、摂食嚥下障害を疑う症状、栄養摂取状況 、薬物の使用、認知能力に関する問診を行う。

9/18

説明

摂食嚥下障害を疑う主な症状には以下のようなものがある1)。意識障害、嚥下時のむせ、咳、痰に食べ物残渣が混入、咽頭違和感、食物残留感、嚥下困難感、食欲低下、食事時間の延長、食事内容の変化、食べ方の変化、食事中の疲労、流涎、構音障害、湿性嗄声、口腔顔面失行、反復する呼吸器感染・発熱、基礎疾患のない体重減少、尿量減少、脱水症状である。

摂食嚥下障害の症状に関する問診として、質問紙を利用しても良い。

10/18

説明

質問紙としては、聖隷式嚥下質問紙、EAT-10などがよく用いられる。ここでは、聖隷式嚥下質問紙を示す2)。質問紙を利用すると、短時間で系統的に把握できる利点があり、スクリーニングツールとして使用できる。

11/18

説明

栄養摂取状況については、全量経口摂取できているか、経管栄養か、または一部を経管栄養より補給しているかを問診する3)。摂食嚥下障害患者の帰結評価4)を用いて、経口摂取と経管栄養の割合で考えるとわかりやすい。 いずれの割合においても、どのような経過を経て現在の栄養摂取方法に至ったのかを併せて確認する。

12/18

説明

摂食嚥下障害患者の帰結評価を示す。摂食状態、医学的安定性を評価する。

13/18

説明

薬物は、患者がすでにかかえている摂食嚥下障害を悪化させたり、薬物自体が摂食嚥下障害を引き起こすことがあるため、服薬状況を情報収集しておく必要がある。特に中枢神経系に影響を及ぼす向精神薬の把握は重要である。

14/18

説明

認知症や口腔顔面失行により、先行期、口腔準備期、口腔期の問題が生じる。 問診では、認知症を起こしうる病歴の有無、口腔顔面失行などの高次脳機能障害を起こしうる中枢神経疾患の病歴の有無を確認しておく。

15/18

参考文献

  1. 平岡崇: 摂食・嚥下障害リハビリテーション 摂食・嚥下障害の評価 病歴・身体所見のポイント, Modern Physician, 26: 19-21, 2006
  2. 大熊るり・他:摂食・嚥下障害スクリーニングのための質問紙の開発.日本摂食嚥下リハ会誌, 6:3-8,2002
  3. 戸原玄: 訪問で行う 摂食・嚥下リハビリテーションのチームアプローチ, 全日本病院出版会, 2007
  4. 小野木啓子・他:嚥下造影検査 最近の知見を含めて.臨床リハ,11:973-803,2002
16/18

 

17/18

 

18/18