説明
摂食嚥下障害を疑う患者の全身症状として一般所見のポイントは、発熱、血圧の変動、頻脈、皮膚や粘膜の乾燥、るいそう、浮腫などを評価し、脱水・低栄養の徴候があるかどうか確認すること。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の呼吸器症状として身体所見のポイントは、全身倦怠感、発熱、湿性咳、呼吸困難、チアノーゼなどを評価し、誤嚥性肺炎の徴候があれば血液検査や胸部X線撮影を行うこと。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の口腔内歯科所見のポイントは、食物残渣、歯垢、舌苔、口臭、齲歯、歯周炎、義歯の適合性、唾液の性状などを評価すること。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の神経学的所見のポイント①は、意識状態と認知機能を評価し、軽度意識障害や認知症を見逃さないこと。
意識障害がある場合には、誤嚥を伴う摂食嚥下障害が起こりやすい。
高齢者の認知症や脳血管障害などに伴う認知障害で摂食嚥下の問題を生じる。摂食意欲の低下による拒食の問題、注意の持続力の低下や遂行機能障害による食事動作の停止、理解力や記憶力の低下による食物認知の低下などがみられる。認知症である高齢者が摂食嚥下障害を呈した場合、その障害の程度にかかわらず誤嚥性肺炎を併発するリスクは高い。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の神経学的所見のポイント②は、高次脳機能障害の有無を評価すること。特に、情動の障害で食欲低下を認める場合には、経口摂取の導入が難しい。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の神経学的所見のポイント③は、嚥下に主に関係する脳神経検査として、三叉神経(V)、顔面神経(VII)、舌咽神経(IX)、迷走神経(X)、舌下神経(XII)を評価すること。
説明
摂食嚥下と関係する三叉神経(V)のポイントは、枝の1つである下顎神経が歯、下顎、下唇、頬、オトガイ、頬粘膜、舌の前2/3の感覚を担うと共に、咀嚼筋(咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋)、深頭筋、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹の運動を支配している。
説明
摂食嚥下と関係する顔面神経(VII)のポイントは、舌の前2/3の味覚を担うと共に、顔面表情筋、広頸筋、頬筋、アブミ骨筋、顎二腹筋後腹などの運動を支配し、鼻粘膜・口腔粘膜の分泌および顎下腺および舌下腺の分泌作用を支配する。
説明
摂食嚥下と関係する舌咽神経(IX)のポイントは、舌の後1/3の感覚と味覚ならびに咽頭の感覚を担う。舌咽神経の損傷で咽頭反射に問題がでる。
説明
摂食嚥下と関係する迷走神経(X)のポイントは、枝である反回神経が食道への自律神経作用と声帯運動に関係する。反回神経麻痺で嗄声がみられる。
枝である上喉頭神経外枝が喉頭咽頭筋と輪状甲状筋の運動を支配し、上喉頭神経内枝が舌根、喉頭蓋、喉頭の粘膜の感覚を担う。枝である下喉頭神経は喉頭筋の運動を支配する。
説明
摂食嚥下と関係する舌下神経(XII)のポイントは、口蓋舌筋以外の全ての舌筋に分布し運動を支配する。舌下神経麻痺で、舌を突き出すように指示すると、舌は麻痺側の方向を向く。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の構音評価のポイントは、球麻痺・仮性球麻痺があるかどうかを評価するために、口唇音(ぱ、ば、ま)、舌尖音(だ、ら、た)、奥舌音(か、が)、軟口蓋挙上音(あ)について評価を行う。また、同時に声質(湿性嗄声、弱い発声)の評価も併せて行う。
説明
摂食嚥下障害を疑う患者の運動機能所見のポイントは、座位姿勢と食事動作に関連する頸部・体幹の運動機能と感覚機能を評価すること。