説明
内視鏡の挿入法や、合併症にについて概説する。
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検査の実際
(1) 内視鏡および周辺機器の準備
機器の動作確認を行い、録画、録音が確実にできるように確認をする。日時や氏名の録画をあらかじめ行っておくと良い。
また、検査施行上のリスク管理として、アレルギーや基礎疾患の情報を得ておく。食品を使用するので、食品アレルギーの情報は不可欠である。
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(2) 用意しておきたい物品
必要な物品がそろっているかを確認する。
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(3) ピンセット・吸引器
鼻道内に鼻垢がたまっている場合、ファイバースコープを挿入することは困難なので、除去しなければならない。自分で鼻をかんだり、除去したりできない症例も多いので、鼻用のピンセットがあると便利である。
挿入後、貯留物が多い場合は、吸引器を用いて鼻腔、口腔、咽頭、喉頭内の貯留物を吸引することが必要である。
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(4) 内視鏡の挿入
必要に応じて対物レンズに曇り止めを付け、内視鏡の滑りを良くするため、先端部に水あるいは潤滑用ゼリー状基剤を付ける。内視鏡操作部を利き手で把持し、角度調節レバーに拇指または示指を添え、反対の手でシャフト部(挿入部)を保持しながら外鼻孔から内視鏡を挿入する。
挿入時には、患者が挿入を避けるように不意に頭部を動かすことがあるので、適切に頭部を固定する。認知症例では特に注意をする。また、くしゃみなどで大きく頭位が動くこともあり得る。バックレスト付きの椅子や適切な枕の使用と介助者の徒手で適切に固定が必要である。
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下鼻甲介下方からの挿入
下鼻甲介下方からアプローチする場合は外鼻孔からほぼ水平方向に内視鏡を挿入し、鼻中隔、下鼻甲介、鼻腔底を観察しながら内視鏡の挿入を進める。なお、いずれのアプローチの場合も内視鏡の挿入動作を安定して行い、患者の頭部の急な動きにも追従できるようにシャフト部を保持した手の1、2本の指(通常は小指と環指)を患者の頬部付近に接触させておくのが望ましい。
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VFとVEを同時に行っている図である。下鼻甲介下方から挿入されているので、硬口蓋に平行に挿入されているのがわかる。オリエンテーションがつきやすいので、初心者には使用しやすい。
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下鼻甲介上方からの挿入
下鼻甲介上方の鼻道は、比較的広いので、慣れればこの経路は患者の苦痛が少ないが、若干オリエンテーションがつきにくい。
ファイバースコープを外鼻孔からやや斜め上方に向かって内視鏡を挿入し、下方に下鼻甲介粘膜面、内側に鼻中隔を観察しながら下鼻甲介上面に沿って放物線を描くイメージで挿入する。
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(5) 除痛
通常は、麻酔薬の使用は不要で、潤滑剤や水をファイバーに塗布するのみである。しかし、患者が疼痛を訴える場合は挿入した内視鏡を外鼻孔から引き抜き2%塩酸リドカインゼリーや8%塩酸リドカインスプレーなどの局所麻酔剤を内視鏡先端部と鼻孔粘膜に塗布する。
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(6) 付着物に対する対処怯
観察中に視野が確保されない場合は、先端が粘膜に接触しているか、分泌物などが先端に付着しているかである。このような場合には、ファイバーを先に進めることは厳禁である。2~3cm引き抜いてみる。この操作で視野が回復しないときは付着物が原因である。空嚥下を指示し、先端に周囲軟部組織を接触させて除去を試みる。これらの操作でも付着物を除去できない場合は、ファイバーを完全に抜いて、先端を清掃し再挿入する。
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合併症とその対策
(1) 失神発作
稀に、内視鏡挿入操作中ないし検査中に、突然に沈黙、徐脈、血圧下降を来し、意識を消失することがあると言われている。この誘因は、迷走神経の知覚枝に直接的な刺激が加わり引き起こされる場合と、緊張状態から自律神経系の不均衡を来し、最終的に副交感神経優位となって起こる場合とがあると言われている。いずれの場合も急激な血圧低下による脳血流量低下によるものと考えられる。
予防としては、被検者の緊張をできるだけ和らげること、内視鏡操作は極力愛護的に行うことが重要である。つねに被検者の様子に気を配る。失神発作を来した場合には、検査を直ちに中止し、速やかに仰臥位とし、バイタル・サインをチェックするとともに、気道確保、換気、血管確保など救命処置の準備をする。常に最悪の事態をも想定した心構えと具体的な準傭が必要である。
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(2)鼻出血・咽頭出血
鼻腔内の易出血部位は鼻中隔前端(キーゼルバッハ部位)、下鼻道後端外側(ウッドルフ静脈叢)の2カ所である。これらの部位ではわずかな機械的刺激でも出血する可能性がある。それ以外の場所からの出血は、内視鏡操作時に粘膜を損傷したものと考えられる。しかし、正常の鼻腔内では、適切な内視鏡操作で出血をさせることはほとんどない。しかし、不要に患者が動いたり、くしゃみで大きく頭が動いたりした場合に、先端が激しく粘膜をこすってしまうことはあり得る。
内視鏡操作による損傷を避けるポイントは、①視野に空間を確認できないときに内視鏡を進めない、②位置指南ができなくなったら少し引き返す、③挿入深度を常に意識するということの3点である。また、事前に鼻の疾患がないか、出血傾向を伴う疾患がないかを確認することも大切である。
出血時の対応は、粘膜を擦過して、血液がにじむようなことはあるが、経過観察で良い。
流血した場合、鼻中隔前端、下鼻甲介前端では直接的にタンポンなどで圧迫止血処置を試みる。出血傾向や凝固障害がなければ自然止血することも多い。出血が持続する場合には、速やかに耳鼻咽喉科の受診を勧める。
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(3) 声帯損傷・喉頭痙攣
声帯粘膜は傷つきやすい。検査中に被検者が不意に嚥下したり、また咳嗽などで喉頭が挙上したりするときに内視鏡先端が声帯粘膜に接触して損傷を来すことがあると言われている。特に声門下を観察しようとして、喉頭前庭内に先端を進めた際に危険性が高いので注意する。
喉頭痙攣とは、喉頭入口部が痙攣性に収縮して狭窄ないし閉塞を起こすことをいう。単に左右の声帯が内転・近接し吸気性の喘鳴を呈する程度から、さらに高度になると仮声帯や披裂喉頭蓋襞が絞扼して喉頭入口部の完全閉塞を起こすに至る。特に喉頭前庭以下(特に声門下から気管)、に強い刺激(挿管や溺水)が加わったときに起こるとされている。VE時では誤って、声門下に内視鏡が挿入されたようなときにこのようなことが起こりうるかもしれない。
軽度であれば酸素を与え落ち着かせ、ゆっくりとした呼吸を促すだけで回復することもあるが、高度になれば加圧呼吸や気管内挿管などの救命処置を要する。
参考文献
- 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会. 嚥下内視鏡検査の標準的手順. 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会ホームページ, 医療検討委員会作成マニュアル.