説明
舌や粘膜は軟部組織であるため、歯とは異なる注意点や道具がある。したがってそれらを十分に理解して行うことが大切である。
説明
口腔清掃は歯を含め、口腔内の様々な箇所の清掃が重要である。口腔清掃は口腔機能を改善し、間接訓練としての意義も重要である。
説明
口腔粘膜には様々な疾患が発生する。一般的なものはアフタ性口内炎であるが、免疫力低下、唾液量減少、抗生剤の長期服用など、様々な環境変化により、カンジダ性口内炎が発生することもある(写真)。ほかに白板症などの前癌病変や口腔癌など、見落としてはならない疾患は多く、注意を要する。
説明
使用する器具は粘膜と舌に分けて説明する。
粘膜など軟組織の清掃を目的とした器具は綿棒、スポンジブラシ、軟毛ブラシ、口腔ケア用ウェットティッシュなど様々なものが存在する。清掃効果は臨床的には軟毛ブラシ、での清掃が最も効果がある。スポンジブラシも良く使用される。
軟毛ブラシについては粘膜を傷めにくい非常に柔らかい毛のウルトラソフト(US歯ブラシ)が使いやすい。それらの中で口腔内状況に合わせて器具は選択する。
一方、口腔ケア用ウェットティッシュや綿棒などの清拭用品も使用されることはあるが、清掃効果は乏しいので、補助的な用品であると理解されたい。
説明
舌は形態的に特異であるため、清掃用器具も専用に考案されたものが多い。大別すると、ブラシタイプ、ブレードタイプの2種類である。ブラシタイプはブラシに背板が存在するものとないものがある。どれを選択するかは、患者の開口量、協力性により一概に述べられないが、なるべく小さいほうが患者負担は少ない。
尚、スライド4で紹介した粘膜用器具を舌に使用することも可能である。
説明
舌・粘膜に対する口腔清掃時に使用する薬剤は、前項で紹介されたものと同じである。日常臨床でよく使用するのはスライドの3種類である。それぞれ希釈して清掃器具を洗浄する際に使用する。
薬剤は口腔清掃に際して必須という訳ではなく、あくまで機械的清掃が重要との観点から、補助的な意味合いで使用するべきであろう。
説明
清掃は、一口腔単位での(口腔内すべての)清掃を行うことが原則である。
説明
口腔乾燥を呈する場合は、あらかじめ湿潤化をはかるべきである。そのような患者の多くは、誤嚥リスクが高く、うがいが困難である。適宜、乾燥粘膜、舌に対して口腔保湿ジェルを塗布する。湿潤化はケアに伴う粘膜、舌からの出血予防にもつながる。徒手的に塗布することで、口腔周囲筋群のマッサージを兼ねることもできる。口腔内の汚れが多量に付着している場合は塗布後しばらく置いてから清掃すると除去しやすい。
説明
必要により薬液を希釈した水で器具をすすぎながら、舌・粘膜を清掃する。いずれも力の入れすぎや、擦掃し過ぎにより表面を傷めることが無いように気をつける。口蓋、舌背面は嘔吐反射を誘発する場合があるので、配慮を要する。舌はなるべく前方へ挺出させながら清掃するほうが負担は少ない。(すすぎは微温湯が刺激や拒否が和らぐので用いると良い)
尚、乾燥舌背をむやみにケアすると舌乳頭中の細菌が拡散されるので、薬液を使用して十分に清掃を行うべき、との報告もある1)。
説明
うがいは汚れが洗い流され、自覚的にも気持ちよく感じられるとともに、口腔内の食物残査の除去や気道内の分泌物の除去、咳嗽反射の誘発によって咽頭がきれいになり呼吸訓練にもなる。
座位の姿勢を保ち、丁重にうがいを誘導する。うがいが不可能な例では口唇を閉じる訓練や口を膨らます練習等を行い、前屈姿勢で少量の水でうがいの練習を始めると良い。
座位が保てない例の誤嚥予防に配慮したポジショニングのポイントは①最低30度以上のジャッジアップ、②頭部の適前屈、③健側への体幹傾斜(洗浄液が健側にたまるようにする)である。うがいは微温湯を用いると粘膜の刺激や歯のしみる方など和らぐ。
説明
誤嚥のリスクがある際は、吸引機能つきのブラシ、吸引用チップ、吸引用チューブを使用し、ケアに伴う誤嚥を最小限としながらシリンジや吸い飲みで流しながら洗浄する。その他、吸い飲みにて口角から流しだす洗浄法もある。
説明
口腔乾燥を呈する場合は、ケア前と同様、ケア後も湿潤状態を保持すべく、保湿剤を塗布したほうが良い。保湿剤は多様化しており、ジェルのほか、洗口剤タイプ、歯磨きタイプなどもあるため、患者に合ったものを使用する。
塗布に際しては、日常の乾燥部分に薄く広げるように行う。
参考文献
- 清水明美、 中川政嗣、 武田美幸:効果的な口腔ケアとは 口腔乾燥と細菌の変化. 静脈経腸栄養. 22. 546. 2007