教育目標
・間接訓練の定義を理解する。
・間接訓練の意義を理解する。
・間接訓練における留意点を知る。
間接訓練とは
間接訓練とは、安全な嚥下をするために各器官に働きかけ、食物を用いずに嚥下機能を改善させる訓練である。開始には十分な評価と医師・歯科医師の指示を必要とする。訓練内容としては、食事前の準備体操、各器官の機能や運動の協調性を改善させる訓練、発声訓練、呼吸訓練、直接訓練で用いる手技の獲得練習などがある。
間接訓練開始の適応
- 意識レベル・認知機能:指示に対してある程度したがえる状態。
- 全身状態安定:バイタルサイン安定が望ましい。
- リスク管理:十分に行われている環境が必要である。
これらの条件を満たしている場合は、間接訓練を行う。間接訓練は食物を用いない訓練のために、誤嚥や窒息のリスクが少ないのが特徴であり、急性期・回復期・維持期のどの期でも適応可能である。その際には、各々の時期に応じた目標や導入が必要である。
食物の誤嚥はなくても唾液の誤嚥は起こりうるためバイタルサイン安定が望ましいが、不安定な場合はスライド6を参照に訓練を行う。
間接訓練の進め方
評価後、実現可能な訓練目標を設定し、目標に即した訓練プログラムを立案する。具体的な訓練内容を定め、負荷量、訓練量、訓練期間、他の職種との分担などを決定する。訓練を行う際には、訓練の特徴を把握し、対象者の実態に合わせて行うことが肝要である。訓練実施後、訓練効果を測定するために再評価を行い、訓練プログラムの見直しを必要に応じて行う。
間接訓練方法(1)
全身状態が安定している場合は、下記のように誤嚥の直接原因となっている問題にアプローチする。
1.食塊送り込み障害:舌訓練
2.咽頭収縮不良:舌根引き込み訓練、舌保持訓練
3.食道入口部開大不良:Shaker exercise、バルーン拡張法
これらの訓練で一定の改善が得られたら、順次必要な訓練を実施する。
間接訓練方法(2)
全身状態が悪く肺炎などを繰り返す場合は、下記のようにアプローチする。
1.気道確保の訓練:呼吸・咳嗽訓練
2.負担の少ない訓練:thermal tactile stimulation(冷圧刺激法)
全身状態が安定してきたら、間接訓練方法(1)から開始する。
間接訓練の留意点
間接訓練は直接訓練に比較して危険性は低いが、常に対象者の疲労や全身状態に配慮することが必要とされる。特に過度な筋疲労に留意(特に進行性疾患・筋疾患)することが重要である。具体的には、訓練頻度・強度・負荷量・訓練時間に十分配慮する。
また、訓練が単調になりがちであるため、訓練意欲の継続に配慮も配慮する。訓練結果の数値化や視覚化を行ない、改善を明確にする。また、訓練の重要性を理解させることや常に訓練を楽しめる工夫を行うことも大切である。さらに、コミュニケーション障害がある患者も少なくないので、訓練の指示は明確に行い、理解不良の場合はジェスチャーや文字などを利用する。対象者を常に観察し、状況変化の把握に務める。
中間評価と訓練計画の修正
中間評価を定期的に行ない、訓練効果(機能の変化)を確認する。回数や時間、痰の量や声の変化など、訓練前後で比較する。評価は可能な限り、VF/VEを実施する。変化(改善)がある場合は訓練を続行し、ない場合は訓練計画の修正(見直し)を行う。
参考文献
- 才藤栄一、向井美惠(編著):摂食・嚥下リハビリテーション第2版,医歯薬出版,2007.
- 才藤栄一、植田耕一郎(監修):摂食嚥下リハビリテーション第3版,医歯薬出版,2016
- 日本嚥下障害臨床研究会:嚥下障害の臨床-リハビリテーションの考え方と実際- 第2版,医歯薬出版.2008
- 清水充子(編著):言語聴覚療法シリーズ15 摂食・嚥下障害,建帛社,2004