58.食具・自助具・食事介助方法

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むせや食べこぼし、誤嚥などの原因の一つに、食具や食事姿勢を含めた食事環境や介助による影響がある。特に、摂食嚥下障害がある場合においては、誤嚥性性肺炎、窒息に加え摂取量の低下による低栄養・脱水などのリスクにつながる。捕食動作に障害がある場合においても、食具や食事環境を調整することで、食事の自立につながる場合も多々ある。

食べやすく工夫された食具、食べやすい食事環境を調整し、適切に介助することで、安全・自立に繫がる食支援が重要である。

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福祉用具は障害者のために作られたもので、自立支援(補完)用具と、介助支援(介助量軽減)用具に分類される。自助具とは、身体機能や身体構造上の問題により、困難が生じている日常生活動作を、安全にかつ可能な限り自分で遂行できるようにするために、特別(個別)に工夫された道具のことであり、自立支援用具に含まれる。

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スプーンは、スプーンホールが浅く、小さいものが適している。スプーンホールが浅く小さいことで、一口量を3~4gに調整しやすく、開口が難しい場合も口腔内に取り込みやすい。また、スプーンによる舌の圧刺激により咀嚼運動や嚥下反射惹起につながる。柄は長く持ちやすいものが適しており、介助だけでなく食事の自立にもつながりやすい。

スプーンの持ち方は、3指持ちで柄の先端を母指球で支持することで安定が増す。操作性が良いことで介助しやすく、自立にもつながる。また、強く握りすぎると舌の動きの阻害となるため、軽く持って介助する。

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コップのみでは、取り込むときにあごを上げた状態となり、口腔保持が困難となり頸部伸展位で嚥下がおこり、誤嚥のリスクとなる。そのため、口が広く浅いコップや鼻があたる部分をカットしたコップを使うことで、あごを引いた状態で取り込み、口腔保持、嚥下が可能となる。すう力がある場合は、ストロー付マグカップを使用することで、一口量の調整が可能となり、あごを引いた状態で嚥下可能となる。

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上肢機能の障害や筋力の低下により保持が困難な場合は、スプーンの柄が太く軽いものが持ちやすい。シリコンスポンジやくるくるシリコングリップなどをスプーンやフォークに装着することで、弱い保持力でも保持することが可能となる。また、ユニバーサルニューカフやウィル1のように、手に合わせ装着する装置を使うことで、保持が可能となり、食事の自立につながる。

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日本人の文化として、特に高齢者にとって箸を使うことは重要な意味を持つ。使い慣れた箸を使うことで、認知機能の低下がある場合に食物認知につながり、食べる意欲の向上、食事の自立につながる場合もある。巧緻性や筋力低下した場合においては、ばね箸などを使用することで箸の使用が可能となる。

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裏に滑り止めがついており、片手操作でもすくう動作が可能となる。また、巧緻性の低下によりすくう動作が困難な場合においても、器の底が傾斜しており返しがあるので、片手操作でもすくいやすくこぼれにくくなります。すべり止めマットにおいても、器を押さえる動作が困難な場合において効果的である。

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重度の運動麻痺患者に対し、スプリングの張力を利用することにより、わずかな力でも自身の腕を動かし捕食が可能となる。

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食事時の姿勢は、摂食嚥下機能に大きく影響を及ぼす。その食事姿勢は、ベッド、椅子、テーブルなどに大きく影響される。両肘をついて安定しやすいテーブルなどを使用することで、姿勢の安定性、食事動作の自立につながる。

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安全・自立を目指した食支援において、食物認知を高め、食事に集中できる環境が必須となる。静かな環境を作るだけでなく、テーブルやトレイへの上を整理する、端的で最低限の声掛けにするなど、視覚・聴覚情報を整理することも重要である。加えて、排泄をすませておく、排泄に関連した物品は清潔にして片づけるなど、気持ちよく食事に集中できるように配慮する。食事は、できるだけ正面・斜め下に配置することで、食物認知が高まるだけでなく、視線の誘導により頸部姿勢の調整にもつながる。そして、食事と食べる様子が一度に見える位置で介助することにより、リスク管理も含め安全で効率的な介助につながる。

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食事時の姿勢は、嚥下機能低下時に代償法として活用されるように、摂食嚥下との関連が強い。不良な姿勢は、食べる機能を阻害するだけでなく、呼吸や循環など全身に影響を及ぼし、誤嚥や窒息、食事の自立阻害、食事量の低下などにつながる。誤嚥を予防し安全な食事を提供するためには良好な機能が充分に発揮できる食事姿勢の調整が必須となる。

1)ベッド上での食事姿勢では、ベッドと体の隙間が過度にあかないようにクッションやバスタオルなどを使用して、安定を図る。骨盤が後傾すると、腹部・胸部の圧迫となり、嚥下関連筋の緊張につながるため、滑り座りとならないように挙上する。

2)足底の安定をはかることで、姿勢の崩れを予防し、嚥下力や喀出力の向上を図ることができる。

3)上肢は、上肢の重さが頸部周囲筋の緊張や呼吸への負荷とならないように、肘からサポートを行う。リクライニング角度が低い場合は、肩甲帯のサポートも必要となる。

4)テーブルを体幹と握り拳1個分の位置、臍と腋窩の中間の高さに調整し設置することで、上肢の安定がはかれ姿勢の崩れの予防となる。また、肘をついた状態で捕食できるため、食事の自立にもつながる。

5)頸部の伸展は、口から気管にかけて直線状となり構造的に誤嚥しやすくなる。加えて、頸部周囲筋の過緊張となり嚥下運動を阻害するため、頸部前屈位に調整が必要である。

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車いすは移動の道具であり、食事時に使用するためには姿勢調整が不可欠となる。また、長期間使用している車椅子は、座面は背面のシートがたわんでくるため、たわみの補正も必要となる。

①臀部の位置が重要であり、滑り座りとならないように、しっかりと座面深くに座る。

②足底は、床面に接地する。足底全面がつかない場合は、足台を使用する。フットサポートを使用すると、足底の位置が体側から離れ骨盤が後傾するため、、少し体側に引くように足底の位置を調整することで、体幹が前傾となり食べやすい姿勢につながる。

③上肢は、必ず両肘をテーブルにのせる

④テーブルを体幹と握り拳1個分の位置、臍と腋窩の中間の高さに調整することで、上肢の安定がはかれ、姿勢の崩れの予防となる。また、肘をついた状態で捕食できるため、疲労しにくく食事の自立にもつながる。

⑤斜め下正面に食事を配置し、視線を誘導することで、食物認知が高まるだけでなく、頸部が前屈位となり頸部姿勢の調整にもつながる。

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食事介助する場合、高い位置から介助することで、飲み込み難く、あごもあがり誤嚥につながる。また、不適切なスプーン介助は、口をあけない、口にためこむ、飲み込まないなど、摂食嚥下障害の症状につながるため、適切なスプーン操作による介助が必要である。

①視覚情報を入力することにより、食物認知が高まり食べる準備が整う。

②スプーンは、舌と並行に口腔内に挿入する。高い位置から挿入すると、頸部が伸展位となり、むせや早期咽頭流入、咽頭残留の原因となる。

③日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013コード2までの食品(丸飲みや押しつぶしが可能な食品)はスプーンを舌背中央にのせることで、咽頭への送り込みがスムーズとなる。コード3以上の食品(咀嚼が必要な食品)は舌尖におくことで、咀嚼運動へ移行しやすくなる。

④スプーンを抜く時は、口唇閉鎖を促し、上口唇を滑らせるように刺激し、ななめ上方へ抜く。この時、あごが上がりやすいため、注意が必要となる。口唇閉鎖を促すことで、開口嚥下を予防し咽頭への送り込みや、口腔内圧を高めることができる。

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介助ペースは、食事時間、食事による疲労、むせや誤嚥、食事量などにも関連する。捕食介助後すぐに次の一口を見えるようにすくい、飲み込みを確認したらすぐに次の一口を介助する。ペース良く介助することで、食事への集中維持、食事時間の短縮、食事による疲労軽減、食事摂取量の増大など、安全で効率的で食べやすい介助につながる。

ペース良く介助するためには、介助者が食品と嚥下の状態が一度に見える位置(介助者からみて食品と患者が90度以内)で介助する。また、左から右手で介助すると、スプーンをまっすぐ口腔内に挿入できず、頸部回旋での嚥下など誤嚥につながるため、右側からは右手、左側からは左手で介助できるように環境を整えることが必要である。

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