説明
摂食嚥下のプロセスには先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期の5期が一般的に知られている。しかしながら、成人期の摂食嚥下機能は発達期の学習によって獲得した機能である。そこで、発達期の患者を診る場合には、摂食機能発達の8段階も考慮に入れた、アプローチが必要となる。
説明
正常な小児の摂食機能発達には8つの段階が知られている(向井2000年)。各段階には特徴的な動きがあり、嚥下機能の発達、摂食機能の発達から、手指機能の発達を経て完成する。
説明
生来持って生まれた機能は、哺乳動作(反射運動)であるが、外界からの適切な感覚刺激の繰り返しによって、合目的な機能発達がなされる。
説明
摂食嚥下機能の発達を阻害する因子は、ライフサイクルの上で多く存在し、機能獲得する以前に障害が生じると 基本的機能獲得の停滞・停止が生じる。
説明
経口摂取準備期の特徴は反射運動を中心とした、哺乳運動が主である。この時期には盛んに指しゃぶりや玩具なめを行い、口腔内の感覚を学習する。
説明
反射運動中心だった、経口摂取準備期から初めて獲得する機能は嚥下機能である。この時期には下唇の内転という特徴的な動きが観察される。また、舌運動は前後のため、液状~なめらかにすりつぶした状態の食物しか処理ができない。
説明
これまで、哺乳という口を開けた状態からスタートしていた食事が、自発的に口唇を閉じて捕食して処理を行う時期である。まだ顎運動が安定していない時期であるため、サラサラの水分はうまく処理ができない。
説明
口唇が閉鎖することにより、口腔外に出られなくなった舌は、方向を変え上下に動けるようになる。その際、軟らかい食物を潰すことが可能となる。顎運動はこの時期まだ単純上下であるため、力強く押し潰すために、口角が左右対称に引かれる。
説明
舌である程度の固さの食物を処理出来るようになると、食形態のアップに伴い、舌だけでは押し潰せないようになる。この時、これまでの経験で、臼歯部に食物を置くと上あご、下あごの骨を利用して、砕くことが出来るようになる。この機能は、玩具や指しゃぶりなどの口腔感覚体験が最も必要となる機能である。外部観察評価からは、口角が左右非対称に動くため、比較的観察しやすい。
説明
これまで口腔機能発達がメインだったが、手指を用いた遊びを通して、手と口の協調運動が開始される。この時期を自食準備期と呼ぶ。
説明
手指を使って、食物を口腔内に運ぶ機能発達期を指す。体幹保持の安定から、徐々に手が体幹から離れるようになり、やがて前方から口唇中央部に運べるように発達する。
説明
スプーン・フォーク・箸のような食具を用いて、口に運ぶ高度な協調運動を指す。正常発達過程では、箸動作は6歳くらいまで習熟が必要とされる。
説明
発達期の摂食嚥下障害の成因には様々なものがある。ベースとなる原疾患はもとより、食環境の不調和や感覚体験不足なども大きなマイナス要因となる。
説明
摂食機能発達の段階と障害された時の症状を示している。摂食嚥下の5段階プロセスのように対応した障害がみられる。手指機能が未成熟な小児患者が多いため、口腔機能発達までの5段階までを表した。
説明
生後間もない頃からのアプローチが必要であり、可能な限り早期に介入する方が良いが、介入が遅くとも機能発達は望める。機能発達には身体の成長も伴うため、暦齢に従い変形に留意しなければならない。また、患者本人よりも、保護者の協力と保健・医療・療育・教育機関の密な連携が必要で、成人期までの長い道のりが必要である。